Q5:パワーシリーズのりん酸はなぜ効くの?
りん酸は作物の根の発育や分けつを促し、また、花を咲かせたり、実を結ばせたりするために必要な成分です。
通常、施肥したりん酸は、土壌中の鉄、アルミニウムと早い時期に結合して、作物に効かないりん酸に変化しやすい性質があります。これをりん酸の固定といいます。(表1参照)
- 易溶型は、すぐ作物に利用されますが、カルシウム型りん酸は土づくりがよくなされていないと利用されません。また、鉄型、アルミニウム型は利用されません。
- 土壌が固有にもっている性質によって、りん酸を固定しやすい土壌とそうでない土壌があります。そこで、りん酸吸収係数を計ることにより、その目安を知ることができます。
表1 施肥りん酸のゆくえ(江川)
施肥後の経通時間 |
土壌中のりん酸の形態(%) |
易溶型 |
カルシウム型 |
鉄型 |
アルミニウム型 |
直後 |
火山灰土壌
鉱質土壌 |
0.9
36.1 |
2.8
0.5
|
26.6
6.7 |
68.4
56.5 |
1か月後 |
火山灰土壌
鉱質土壌 |
0.2
21.8 |
4.9
0.7 |
23.9
8.7 |
68.9
68.2 |
5か月後
|
火山灰土壌
鉱質土壌 |
0
8.7 |
7.2
1.4 |
25.2
13.6 |
67.6
76.3 |
注1:土壌2gにP205として10mg添加
注2:易溶型は1M NH4C1可溶性
(易溶型りん酸とは、土壌中に固定化されないりん酸=すぐに吸収できるりん酸)
じゃ~あ『りん酸吸収係数とはな~に?』
土壌100gが吸収固定するりん酸の量をmgであらわしたものをりん酸吸収係数といいます。
火山灰土壌ではりん酸吸収係数が大きくなります。りん酸吸収係数が大きい土壌では施肥りん酸が土壌に固定されるため、植物による利用率が低くなりやすいです。(表2参照)
りん酸吸収係数が1,500mg/100gであれば100g当りの土壌でりん酸(P2O5)として1,500mg吸着されることを示します。
りん酸吸収係数 |
作物のりん酸利用率の目安 |
備考 |
2,000以上 |
6~10% |
腐植質火山灰土壌 |
2,000~1,500 |
10~15% |
火山灰土壌など |
1,500~700 |
15~20% |
こう積土壌 |
700以下 |
20~30% |
沖積土壌 |
じゃ~あ『どうすれば効くようになるの?』
パワーシリーズに使用している原料の腐植酸りん肥は、良質のりん鉱石と蛇紋岩が使用され、それを分解するときに生成されるゲル状シリカ(鉱物に含まれる、けい酸がゼリー状になって、固化している状態)と腐植酸とで、りん酸が二重に保護されているため、土壌中の鉄やアルミニウムとの反応が抑制され、土の中でも、作物に吸収されやすいまま長く保持されるので、吸収がよいのです。
(図3参照)